日本精神神経学会の精神病名検討連絡会は、これまで「障害」と訳してきた"disorder"を児童青年期の疾患と不安症およびその一部の関連疾患を中心に「症」と改める新しいガイドライン「DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン」を公表しました。
この連絡会において、病名に障害がつくことは、児童や親に大きな衝撃をあたえ、また、disorderを障害と訳すことは、disabilityの「障害(碍)」と混同され、しかも「不可逆的な状態にある」という誤解を生じさせる可能性もあることが大きな意見だったとのことです。
一方で「症」を用いることで、過剰診断・過剰治療につながる可能性もあるという意見もあり、専門学会の要望が強かった「児童青年期の疾患と不安症およびその一部の関連疾患」に限り変更することになったとしています。また、従来の呼称がある程度普及している場合は新たな提案の病名にスラッシュをつけ併記することにしているそうです。
今回の公表によると、例えば次のように変わるようです。
Autism Spectrum Disorder 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム 障害
Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder 注意欠如・多動症/注意欠如多動性障害
Lerning Disorders 学習症/学習障害
今回の新ガイドラインは今後検討を継続するのだそうです。
そうはいっても、該当者および周辺で関わる存在が、お互いに向き合って信頼のもとに生活を営むという根本は変わらないのですね。
呼び名が変わることで、誤解が解け、より深い理解につながるのであればそれに越したことはありませんね。
参考としたサイト:https://www.jspn.or.jp/activity/opinion/dsm-5/